ALPHAS/アルファズ

INTERVIEW

ビル・ハーケン役 マリク・ヨバ インタビュー

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Q. SFにはアクションシーンや特殊効果がつきものですが、「ALPHAS/アルファズ」では人の心理状態や登場人物についての描写のほうが多いですね。その点についてどう思いますか?

君はとても頭がいいね!そんなふうに感じたのなら、君はこのドラマの狙いが何かすっかり理解してるってことだ。『ALPHAS/アルファズ』は、登場人物や、俺たちのチームが様々な状況をどんなふうに捉えて、どう切り抜けるかを描いているドラマだからね。アクションシーンは、あくまでも話を進めたり、登場人物絡みの話だけでなく、作品をおもしろくするために必要な場合に使われる仕掛けに過ぎないんだ。

このドラマのテーマは、人や人間関係だ。脳の働きや、脳によって与えられる能力や逆に問題になること、そして俺たちがそういったことにどう向き合うかを描いている。演じる立場から見ると、それこそがまさにこのドラマを面白くしてる部分だと思う。というのも出演者は複雑な事情を背景に演じることになるわけだからね。人の弱さや感情を考慮した演技が要求されるんだ。もちろん体を使った見せ場もおまけ程度にはある。若さを維持するためのいいトレーニングになってるよ(笑)。

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Q. もしビルに子供が生まれたら、父親から特殊能力を受け継ぐ可能性はあると思いますか?

うん、だからビルが子供をつくることをためらうのは当然だと思うよ。自分自身や奥さん、子供にどんな影響があるかも分からないしね。しかもビルは自分の特殊能力について、実はまだ奥さんに一言も話してない。奥さんはビルがいつかFBIに復帰するつもりだと思ってる。短気なことは問題だと思ってるけど、彼に特殊能力があるなんて知らないからね。これもまた演じる立場から見ると面白いところで、ビルが抱える不安材料は一つだけじゃない。ビルが自分の体調について真実を明かしていないように奥さんは感じてる。つまりその点について彼はウソをついているわけだし、加えて子供に自分の遺伝子が受け継がれるかどうかも気がかりだ。特殊能力が遺伝に関係していればの話なんだけどね。ビルの両親はアルファではなかったから、遺伝は無関係かもしれない。これこそまさにこのドラマのかなめで、特殊能力は必ずしも両親から受け継がれた物ではないとしたら、彼の中にもいろいろ葛藤があるんじゃないかな。

Q. ビルはチームの中では唯一、特殊能力を完全にはコントロールできないメンバーですが、そういう一面については演じる上でどう工夫していますか?

これも演じるという点でとても気に入ってることの一つなんだけど、演技では脚本に書かれていないことを表現する力が求められる。脚本家は最初、ビルはカッとなりやすくて怒りをコントロールできない男に仕立てた。FBI勤務のとき、怒って思わず同僚の捜査官に暴力を振るったことで彼は非難されてたからね。でもビルの特殊能力について調べているときに思いついたのは、もし副腎が過剰に働くような発作が起きたらどうなるだろうっていうこと。つまり副腎がアドレナリンを分泌して怪力を出せるようになるって話だ。ただそうなれば当然、副腎に疲労がたまる。そしてその疲労がたまりすぎると最終的にはアドレナリンを分泌できなくなって怪力という特殊能力を使えなくなるだけじゃなく、人並みの日常生活でアドレナリンを必要とするような場合にも力が出なくなるだろう。

演じる立場から見ると、ビルの努力を表現する方法を探ることに興味を引かれる。たとえば能力をコントロールしたり、逆にコントロールできないことをコントロールしようとしていることだ。とても興味深いね。だから演じる上でちょっとした工夫をしてるんだ。分かりやすい例を挙げれば、ビルはいつもお茶を飲んでる。そのこと自体については何も言う気はないよ。と言いつつ、あちこちで言ってるんだけど、これは俺が思いついたことなんだ。ビルは特殊能力をコントロールするために何かしてるんじゃないかと思ったんだよね。しかもそれは、ストレスの多い状況で深呼吸して落ち着いたり、俺が普段やるようなことじゃない。つまり演じる立場から見ると、まさにそういう工夫から演じる余地が広がるんじゃないのかな。

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Q. 「ALPHAS/アルファズ」への出演依頼の電話がかかってきたとき、すぐに承諾しましたか?だまされてるんじゃないかという気持ちはありましたか?

うん、だって白人の役を頼まれたからね。毎朝メークが大変だよ(笑)。いままでたくさんのシリーズものに出たけど、ヒットした作品はあまりないんだ。だから、子供がいるし家族とは離れたくなかったけれど、喜んでイエスと答えたよ。

ジャック・ベンダー監督に会ったらとても素晴らしい人だと思ったし、彼には娘が2人いてね。家族のことが気にかかってるって話を切り出しやすくなったと内心思ったよ。第一印象はロックスターみたいな感じだった。監督のことは好きだし、一緒に仕事ができて良かったと思ってる。

Q. 撮影が始まる前の役作りについて教えてください。

役作りはしないたちなんだ。というのは冗談で、いろいろ調べるし、そのドラマや自分の役、そして、その役がどんな経験をしているのか、ということについてなるべく多くの情報を集めるよ。とにかくできるだけ情報収集するよう努めるんだ。

FBIみたいな警察関係の役はかなり演じてきたから、今回はそういう点についてあまり調べる必要はなかったけど、調べ物はネットでほとんど済ませた。FBI捜査官の友人もいるから少し話を聞いたりもしたけど、それぐらいだね。

Q. 「ALPHAS/アルファズ」が視聴者に伝えたいことは?

不可能だと思うことにも全力を尽くすってことかな。

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Q. 映画とテレビシリーズのどちらかの仕事を選ばなければならなかったとしたら、どちらを選びますか?

何でもやりたい。話を作るのが好きだから脚本を書いて監督をしたいし、シーズン3までに実現させたいね。『ALPHAS/アルファズ』のエピソード一つぐらいは任せてもらえるよ。(アジタを指さして)俺は彼女にあれこれ指示するのが好きだから(笑)。

脚本を書くし、監督もする。それに今年監督する予定の作品がいくつかあるんだ。撮影から音楽、編集まで、そして監督の立場からは話の作り方も含めて、俺の情熱が形になった作品だ。考えると楽しくてたまらないね。

Q. 「ALPHAS/アルファズ」の共同製作者ザック・ペンも、スーパーヒーローものの映画の脚本をたくさん書いていますが、お気に入りのスーパーヒーローは誰ですか?理由も教えてください。

パワーマン※ことルーク・ケイジだね。覚えてない?じゃあ、もう一人のお気に入りを教えるよ。ミッキーマウス(笑)。
※ パワーマンはアメコミの黒人ヒーロー。